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 今年も兵庫県三木市内各地で桜の花が咲き誇り、春の訪れを告げている。中でも「美嚢川リバーサイドパーク」は、約2キロにわたる桜並木が河川敷を彩り、名所として多くの市民に親しまれている。その歴史が約65年前、ある一家の植樹から始まったことをご存じだろうか。満開の木々の下で、桜を植えた一人、白井種子さん(94)=同市=に当時を振り返ってもらった。(小野萌海)

 シートを広げ家族や友人らと花見に興じる人、犬とたわむれる人、カメラを向ける人…。白井さんは毎年この時期にパークを訪れ、桜並木を楽しむ人々の姿に心を和ませる。

 白井さんの家はかつて、同市本町1で洋装店を営んでいた。目の前を流れる美嚢川沿いに桜の植樹を発案したのは、父の織田義市さん。1957年の三木市政3周年を祝おうと呼びかけ、義市さんのほか白井さん夫妻、いとこと店の従業員の計8人で植えたという。

 白井さんによると、義市さんは市の給食室の開設や水道整備に寄付をするなど、地域貢献に熱心な人だった。当時は京都でも店を経営していたといい、京都・嵐山の桜と同じ苗木を購入し、トラックいっぱいに積んで三木に持ち帰った。

 その木々を、東は上津橋の上流から、西は末広橋の下流まで植えていった。美嚢川からバケツで水をくみ、土を軟らかくして穴を掘る。当時は今のように川岸が整備されておらず「川幅が狭くてな、水を運ぶときに何度転んだか」と白井さん。周囲の人が珍しそうに眺めていたのを覚えている。

 やがて桜が育ち、花見が楽しめるようになると、河川敷は前夜からブルーシートで場所の取り合いが起きるほどにぎわった。地域の人も協力し、夜桜が楽しめるようにとちょうちんを取り付けてくれた。義市さんには57年4月、市街地の美観に貢献したとして、当時の小林利八市長から感謝状が贈られている。

 今も桜をめでる人々は絶えず、穏やかな時間が流れている。白井さんは、くつろぐ人々を眺めながら「こんなに有名になってうれしい」と笑っていた。

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