「いわゆる震災関連死」という言葉が初めて神戸新聞に登場するのは1995年3月3日、阪神・淡路大震災の発生から1カ月と2週間が過ぎた頃だった◆〈いわゆる〉と注釈がついたのには訳がある。地震による死者といえば当時、だれの頭にも揺れによる直接死しかなかった。だが被災地の真ん中で診療を続けた医師は気づく。助かった命が日々奪われていると◆地震後、急速に食欲を失い脱水症状で衰弱死した人、風邪をこじらせ肺炎になった人、避難所で心筋梗塞を起こした人…。神戸市長田区にある神戸協同病院の院長、上田耕蔵さんが9人の事例を「震災後関連疾患」として報告し、支援の盲点を指摘した◆石川県がおととい、能登半島地震で初めて「災害関連死」を公表した。発生から10日で8人。詳細はまだ不明だが、医療支援の不足や避難所の厳しい環境が影響したか◆それにしても…と誰もが胸を痛めているだろう。この29年間で避難所の環境はどこまで改善したのか。冷たい体育館に布団を並べ、身を寄せ合う姿は少しも変わらない。阪神・淡路の関連死は921人に上った◆きのうの夜、改めて上田さんに話を聞いた。「とにかく早く弱っている人を見つけること」。助かった命が消えていくのを見たくはない。2024・1・11
























