風景や人物、スポーツなどの一瞬を切り取ることのできるカメラ。将来的に趣味にしたいと考えている人もいるでしょう。どのように機材を選び、撮影すればいいのでしょうか。神戸・元町商店街の老舗店「カメラのカツミ堂」のリーダー、大津雄亮さん(45)に聞きました。(斉藤正志)

 -初心者はどんなカメラを選べばいいのでしょうか。

 「ミラーレスカメラが軽くてお薦めです。高齢で一眼レフカメラを持ち歩くのがしんどくなってから、ミラーレスを手に取り、『こんなに軽くなったんなら、また始めよう』と言う人もいます」

 -性能も良いのですか。

 「近年のメーカーの開発はミラーレスが主流になっており、画質、性能も一眼レフより良くなっています。人の顔を探して自動でピントを合わせてくれますし、初心者でも走行中のバイクや飛行機などにピントを合わせられます。オート(全自動)モードなら細かな設定は必要なく、手ぶれ補正などの機能も充実していて、気軽に始めることができます」

カメラの選び方や撮影の仕方などを説明する大津雄亮さん=神戸市中央区元町通2

 -コンパクトデジカメ(コンデジ)では駄目ですか。

 「コンデジでもいいのですが、ミラーレスや一眼レフはレンズを交換できます。あえて明るくしたり、背景をぼかしたりして撮影するなど、こだわって撮ることができます」

 -他のアクセサリーも必要ですか。

 「メモリーカードの購入が必要です。レンズ保護用のフィルターもあった方がいいでしょう。(首や肩にかけて使う)ストラップはカメラを購入すると付いています」

 「カメラバッグは、何を撮るかによって必要かどうかが変わります。例えば山登りして風景を撮影する人は、カメラバッグを持つと荷物が増えてしまうので、柔らかいものにくるんでリュックに入れるだけでいいでしょう」

 -価格はどれくらいになりますか。

 「初心者なら、入門機のダブルズームキットで十分です。標準と望遠の二つのレンズが付いて、だいたい15万円くらいです。レンズが1本だけでいいなら10万円くらいです」

 「例えば同じ電車を撮るのでも、駅のホームから撮影するのと、鉄橋を渡るところを撮影するのでは、必要なレンズが変わってきます。画質を上げたいとか、もっと遠くを大きく撮りたいとか、レベルを上げたくなれば新たなレンズの購入を検討してみてもいいでしょう。それがレンズ交換式カメラのいいところです」

 -わが子を撮影したいという人も多いですよね。

 「運動会の撮影なら、望遠のレンズが必要な場面が多いでしょう。実は望遠レンズは、運動会シーズンの前より、終わってからの方がよく売れます。『もっとうまく撮りたかった』と思う人が多いのかもしれません」

 「50代くらいの人が『子どもが大きくなったから、もう撮るものがない』とカメラを売りに来ることもあります。電車でも、鳥でも、何でもいいので、好きな被写体が決まっていれば、カメラも選びやすいですし、長く続く趣味になると思います」

【大津雄亮(おおつ・ゆうすけ)】兵庫県西宮市出身。西宮今津高校で写真部に入り、専門学校の写真学科を卒業。写真スタジオや建築撮影会社を経て、「カメラのカツミ堂」(神戸市中央区元町通2)に入社した。同店は新品・中古カメラの販売、下取り、写真プリントなどを手がけている。

カメラの始め方<2>写真がうまくなるポイントは 独自の視点で日常の再発見を