「環境破壊」と聞いて、どんな原因を想像するでしょうか。ぜひ本文を読み進める前に、30秒くらい考えてみてください。
有害物質による環境汚染は、規制が進んだこともあり以前に比べると随分と少なくなりました。熱帯林を中心とした森林伐採は今も深刻な問題ですが、世界的には森林を保護する取り組みが進んでいます。現在、最も注目されている環境問題は温室効果ガスの排出でしょう。これについてもさまざまな取り組みがなされています。
一方で、あまり話題にされない問題もあります。ここでは二つの問題を紹介します。一つ目の問題はネコです。ネコがネズミを狩るのはよく知られたことですが、ネコはネズミ以外にも鳥やトカゲ、ヘビなども狩ります。アメリカにはおよそ7千万頭のネコがいると推定されています。これらのネコが年間に殺す鳥の数は24億羽(!)と推定されています。野良猫や放し飼いのネコは生態系への重大な脅威として、近年その影響が明らかになってきました。ネコは室内で飼うようにしましょう。ネコが狩りをするのは自然なことなのでは。そう思った人のために、次の問題を紹介しましょう。
二つめの問題は人間の数です。ネコの家畜化はおよそ1万年前、農耕が始まりネズミ退治が重要になったころだと考えられています。当時の世界人口は数百万人程度だったと推定されています。農耕の発展とともに世界人口は増加し、産業革命までに8億人くらいへと増えました。現在、世界人口は80億人と推定されています。
80億人の食料を確保するためには広大な農地が必要です。多いのは人間だけではありません。世界にはウシが15億頭、ブタが8億頭、ニワトリが230億羽います。これらの家畜の餌を生産する農地も当然必要です。農地が作られることで野生生物の生息地が失われています。
ヒトに最も近縁なチンパンジーは世界で20万頭(ちなみに三田市の人口が10万人)、野生のライオンは3万頭くらいと推定されています。ヒトもニワトリもネコも、野生状態ではあり得ないほどに個体数が多いのです。
経済活動のためには人口が必要です。また急激な人口減少は社会保障に大きな負担をかけます(今の日本がまさにそうです)。しかし、現在の世界人口はあまりに多すぎます。だからこそ環境への負荷を減らす工夫は大事なのです。ネコは室内で飼いましょう。