計測した生体信号(提供)
計測した生体信号(提供)

■計測し病気の早期発見へ

 「病気になる前に、体から出る信号の変化からそのサインを見つけることができたら?」

 そんな未来を実現するための研究に取り組んでいます。日本では高齢化が進み、心不全や脳梗塞、パーキンソン病など、年齢とともに増える病気に対する対策がますます重要になっています。

 これからの社会では、病気だと診断されてから治療を開始するだけでなく、病気のサインをできるだけ早く見つけて、早く適切に対処し、健康を長く維持することが重要です。

 われわれの研究室では、人体から計測できるデータを分析して健康や病気について理解する研究を行っています。私たちの体からは、脳の活動を表す脳波や、心臓の活動を表す心電図、呼吸気流など、さまざまな生体信号を得ることができます。

 これらの生体信号に対して、数学とコンピューター(データサイエンス)を用いて分析すると、目で見ただけでは分からない体(自律神経系や脳神経系)の小さな変化を発見できることがあります。

 研究テーマの一つがパーキンソン病と睡眠の関係です。パーキンソン病は体の震えなど、自覚可能な運動症状で知られますが、睡眠や自律神経に関する自覚しにくい非運動症状の方が先に生じる場合があります。この非運動症状を捉えることで、パーキンソン病の可能性のある人を早めに見つけられる可能性があります。

 これまでに病院との共同研究で、睡眠中に何度も呼吸が止まる睡眠時無呼吸に対する心拍数(自律神経系)の応答や、睡眠状態の変化パターンなどに対し、パーキンソン病が与える影響を明らかにしてきました。

 病気以外のテーマでは、スポーツ中の生体信号を測定して集中度やパフォーマンスとの関連性を調べる研究や、眠りに落ちる入眠過程を解明する研究などを行っています。

 医学や生物学の知識を基にし、ヒトの体から計測した生体データを数学やコンピューターで詳細に分析し、その結果をよく考えて正しく生理学的に解釈することで、健康や医療に貢献する技術の開発に取り組んでいます。