今年8月、文部科学省が佐用町の大型放射光施設「スプリング8」の性能を、2029年度に現在の100倍にする方針を明らかにした。実現すれば世界一の性能になり、次世代半導体などの開発にも役立つという。同施設を運営する理化学研究所・放射光科学研究センターの石川哲也センター長(69)に、その意義や効果などについて聞いた。
-性能100倍とは。
「性能を高めるのは、放射光の明るさに当たる『輝度(きど)』だ。装置を改良して100倍明るい放射光を出せるようにし、今よりはるかに細かい1ナノメートル(10億分の1メートル)レベルで物質を観察できるようにする」
-どう役に立つのか。
「次世代半導体の開発に大きく貢献することが期待される。国内の主要企業が出資する『ラピダス』が、回路線幅2ナノメートルの半導体の量産化を目指しており、これに対応するポテンシャルを持つことになる。半導体の中で電子がどのように動いているのか、不純物は混じっていないかなどの観察を手助けできる」