古くから地域で重要な役割を果たした山中の道について日本山岳会(東京)が「日本の山岳古道120選」を選定し、兵庫県関連では宍粟市と鳥取県の境にある「江浪峠」と、佐用町と岡山県の境にある「釜(鎌)坂峠」が選ばれた。訪ねてみると、産業や文化の発展を支えた山岳古道の周辺には今も、往時の息吹を感じさせる碑や遺跡が残っていた。(村上晃宏)
■たたら製鉄の発展支え 鉄山の跡、職人らの墓石点在 江浪峠
県道72号から脇道に入って約500メートル。宍粟市千種町西河内の山あいに、城郭を思わせる石積みが見えてきた。
「ここは天児屋(てんごや)鉄山跡。市内最大規模のたたら製鉄の跡です」
地元住民グループ「宍粟鉄を保存する会」の上山明さん(85)=同町岩野辺=が取材に同行し、解説してくれた。辺りを歩くと、砂鉄を溶かした際に出る不純物の塊「かなくそ」がいくつも落ちている。