深夜に起きて、赤穂海浜公園の周辺で毎日トレーニングをする枝川哲也さん。陸上や野球など複数の競技で活躍する鉄人だ=赤穂市御崎
深夜に起きて、赤穂海浜公園の周辺で毎日トレーニングをする枝川哲也さん。陸上や野球など複数の競技で活躍する鉄人だ=赤穂市御崎

 車いすスポーツ界の鉄人アスリートが赤穂にいる。赤穂市南野中に住む会社員の枝川哲也さん(42)。陸上や水泳で全国大会に計9回出場し、金メダル11個を獲得。野球ではピッチャーとして全国の舞台に立ち、ソフトボールで日本代表候補にも選ばれた。フルマラソンも完走。深夜に目覚めて海沿いでトレーニングをするのが日課だ。努力の源には、幼い頃から憧れた「あの人」の存在があった。(小谷千穂)

真っ暗な海沿いで

 未明の午前1時半すぎ。赤穂海浜公園(同市御崎)西側の道路から、枝川さんの「朝」が始まる。ストレッチをし、競技用車いすでランニング開始。千種川河口沿いから岬へ。真っ暗闇の中で静かにタイヤをこぐ。1日約25~40キロ。シャワーを浴びて朝ご飯を食べ、正社員として働く神戸製鋼加古川製鉄所に車で通勤し、駐車場で仮眠する。