「豆腐屋の娘が造るシリーズ」を手がける津田弥里さん(左)と父で津田豆腐店店主の隼人さん=市川町沢
「豆腐屋の娘が造るシリーズ」を手がける津田弥里さん(左)と父で津田豆腐店店主の隼人さん=市川町沢

 兵庫県市川町沢の「津田豆腐店」に、「豆腐屋の娘が造るシリーズ」と名付けたブランドの食品が誕生した。店で出たおからや豆乳を使い、栄養価が高く「体が喜ぶスイーツ」を開発。その名の通り、店主の津田隼人さん(63)の長女、弥里(みさと)さん(32)が立ち上げた。今春には町のふるさと納税の返礼品にも採用され、じわりと人気を集めている。(喜田美咲)

 ブランドで手がけるのは「おからグラノーラ」や「ソイプリン(豆乳プリン)」。グラノーラはドライフルーツやナッツ入りで甘味料を使っていない。ヨーグルトだけでなく、サラダとあえるのもお勧めという。青大豆の豆乳で作ったソイプリンは滑らかな舌触りで、乳製品や卵を使わず豆本来の甘味が楽しめる。

 津田豆腐店は1933(昭和8)年に創業し、隼人さんで3代目となる。国産大豆と地下水で作る豆腐や油揚げは無添加で、豆の濃さが際立つのが特徴だ。学校給食のほか、近隣のスーパーに卸してきた。ごま豆腐も夏場に人気という。

 弥里さんはこれまで、名刺やチラシのデザインの仕事をしてきた。2年前からブランディングも学んでおり、その腕を生かすため、まずは身近な実家の味で挑戦することにした。

 店の商品は保存料や防腐剤を使わないのが売りで、日持ちはしない。そこで昨年7月、保存が利いて栄養価が高い商品の開発を始めた。近年のコメ価格の高騰も背景に、店で余りがちなおからを使ってグラノーラ作りに取り組んだ。

 もともと菓子作りが趣味で、いったん始めるとのめり込むタイプという。おからと米粉を混ぜた生地をほどよく乾燥させるため、焼き時間や温度を変えて試行錯誤を繰り返した。

 約1カ月後、町内のイベントに出店し、グラノーラとソイプリン、絹ごし豆腐を使ったみたらし団子を販売した。百貨店の催事にも商品を並べ、健康や美容を意識するリピーターが増えてきたという。

 購入できる場所はイベント会場のほか、福崎町の「松葉寿し」や姫路市八家の「居酒屋だいちゃん」など、弥里さんと取引のある事業所などにとどめている。ブランディングの一環で「商品に出合える特別感」を演出するためだ。

 現在、事業者の生産強化を応援するクラウドファンディング型のふるさと納税の返礼品となった。寄付金を原資に町から補助金の交付を受け、さらなる設備導入に充てる考えだ。

 隼人さんは「(商品開発をすると聞き)初めは難しいやろうと思ったけど、同時にうれしかった。店にも『おいしい』という感想が届くと笑顔になる」と話す。弥里さん自身、「いつもの味」だった実家の味と改めて向き合い、魅力を再認識した。「これからもお客さん目線になり過ぎぐらいな、自分が本当に食べたいと思える商品を作っていきたい」。向上心は尽きない。

 出店情報はインスタグラム「豆腐屋の娘スイーツ」で発信している。