サウナをオープンした清水文彦さん(右)と妻の佐紀さん=市川町下瀬加
サウナをオープンした清水文彦さん(右)と妻の佐紀さん=市川町下瀬加

 市川町下瀬加にある古民家で、敷地内の住宅と蔵を改装した施設「灯火(とうか)サウナ」がオープンした。山あいの田園風景が広がる中で汗を流して「ととのう」空間をつくり上げた。オーナーは姫路市在住の元会社員、清水文彦さん(34)。起業もサウナ事業も初めてだが、熱い「サウナ愛」と家族の協力を燃料に、体も心も温まる施設に育てたい考えだ。(喜田美咲)

 蔵を改装したサウナ室はまきストーブで暖め、熱した石に水をかけて蒸気を発生させる「ロウリュ」を楽しめる。好みの温度に調整し、存分に汗をかく。熱々になった体は木樽の水風呂で冷まし、リクライニングチェアで外気浴する。

 清水さんは会社勤めだった2017年ごろ、友人の誘いでサウナを利用した。サウナと水風呂、外気浴のルーティンをこなすと、頭がすっきりして寝覚めも良くなった。疲れた日も頭を空っぽにでき、「また頑張ろう」と思えた。

 妻の佐紀さん(34)もとりこになり、神戸のサウナへ通った。旅行もサウナを中心に計画し、全国100軒以上を巡った。

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 23年、憧れていた長野県の施設「ザ・サウナ」を訪れた。本場フィンランド式のアウトドアスタイルで、湖畔にたたずむ。熱くても息がしやすいサウナと、体調や居心地をさりげなく気遣うスタッフの姿勢に心を打たれた。

 帰路、余韻に浸りながら考えた。姫路から気軽に通えてロウリュができるアウトドアサウナは少ない。あの気配りのある施設を自分がつくれたら。仕事に不満はない。でも、本当にしたいことが見つかった-。

 佐紀さんに打ち明けた。「仕事は人生の長い時間を占めるから、佐紀と一緒に好きなことをしたい」

 佐紀さんは実家が自営業だった。経営の大変さを知っており、戸惑った。それでも「一緒に」という言葉と熱意に、仕事を続けながら伴走することを決めた。

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 ネットで「サウナ 開業」と検索するところから始めた。開業セミナーや「ザ・サウナ」を立ち上げた「野田クラクションべべー(ベベ)」さんの講座を受けた。

 初めは漠然と姫路城を望む施設を考えた。ベベさんに話すと「シティサウナですね」と言われ、はっとした。姫路周辺で非日常が味わえる自然に近い物件を探した。25年7月、市川町にある蔵付きの築80年の空き家と出合い、購入した。

 べべさんに監修を依頼し、周囲の草刈りや溝の泥かきから作業を始めた。開業資金の借り入れなど初めての手続きを乗り越え、壁の塗装など、できる作業は親族や知人らの力を借りた。

 サウナ内に適度に外気を送り込む装置を設け、息がしやすく会話を楽しめるようにした。水風呂には加古川市の酒蔵から譲り受けた木樽を用いた。

 母屋の古民家も改修し、洋食店をしていた佐紀さんの父特製の欧風カレーを提供する。エステ店を開いてきた文彦さんの母は施設の一角で施術を行う。文彦さんは「2人で始めたから縁がつながり、開業できた。愛着が持てて、明日の活力になる施設になれば」。佐紀さんは「利用者の反応を見て、これからも変化していきたい」と話した。

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 午前10時~午後7時半(月、火曜定休)。2時間ごとの4部制。平日2500円、土日祝日3千円。貸し切り利用も可能。詳細は灯火サウナのインスタグラムで。メール(toukasauna.info@gmail.com)。夫妻の思いはポッドキャスト「灯火ラジオ」で配信中。