イスラエルの空爆を受けたパレスチナ自治区ガザの街角(UNRWA提供)
イスラエルの空爆を受けたパレスチナ自治区ガザの街角(UNRWA提供)

 パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとイスラエル軍の戦闘を巡り、ガザの人道危機が深刻化している。イスラエル軍はガザ北部の住民に南部への避難を通告したが、現地の状況を知る国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の角谷亮さん(40)=神戸市兵庫区出身=は「子どもを含め(国連が避難対象とする)110万人の住民が徒歩で避難できるとは常識的に考えられない」とし、戦闘で犠牲になっているのは「パレスチナとイスラエル双方の一般市民だ」と強調する。

 角谷さんは大学卒業後、在外公館派遣員としてナイジェリアなどで勤務。その後、難民支援の国際協力NGOでの勤務を経て、UNRWAレバノン事務所に所属し、現在はイスラエルの隣国ヨルダンの事務所でプログラム・コーディネーターを務める。

 中東の小国ヨルダンには1948年の第1次中東戦争以降、パレスチナ難民200万人以上が暮らす。角谷さんは国内10カ所の難民キャンプなどで学校や保健所の運営、公衆衛生管理などを担っている。ヨルダンとガザは隣接していないが、角谷さんの元にも毎日、UNRWAの定期連絡でガザの現地情報が入るという。