神戸地裁=神戸市中央区橘通2
神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 兵庫県西宮市で2021年3月、かつて暴力団の組事務所として使われていた運送会社社員寮に銃弾が撃ち込まれた事件で、建造物損壊などの罪に問われた特定抗争指定暴力団山口組系組員の男(54)=大阪市=と無職の男(54)=同=に対する裁判員裁判の判決公判が20日、神戸地裁であった。入子光臣裁判長は組員の男に懲役7年(求刑懲役9年)、無職の男に懲役5年(同8年)を言い渡した。

 判決などによると、両被告は21年3月3日午前2時前、西宮市の社員寮に銃弾4発を発砲しシャッターを損壊したとされる。また組員の男は事件で使用された車に付いていた偽装用のナンバープレートを盗んだとされる。

 公判は実行役の両被告と、指示役とされる同組系幹部の男=一審で実刑判決=との共謀が争点となった。入子裁判長は、指示役の車が発砲前に社員寮前を4回通過し、両被告の車とも連携した動きで現場周辺を走っていたことなどから「互いに協力して一緒にやるという意思を通じ合っていた」と共謀の成立を認めた。事件の背景として暴力団の抗争に触れ「人の生命身体に重大な危害を生じさせかねない」などと指摘した。