パレスチナのオリーブの木で作られた箸を手にする高橋智恵さん。木目が温かい=川西市内
パレスチナのオリーブの木で作られた箸を手にする高橋智恵さん。木目が温かい=川西市内

 パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスと、イスラエル軍の戦闘が激化する中、川西市に住む高橋智恵さん(26)がパレスチナの人々が手作りした商品を仕入れ、販売している。現地の品を通じて、人道危機に直面して暮らす人々や文化の「素敵(すてき)」を伝えることで、人間の尊厳と平和を求めたいと話す。

 高橋さんは、新型コロナウイルス禍が始まった2020年2月、生産者に正当な対価を支払うフェアトレードのブランド「架け箸」を設立。現地のオリーブの木で作った箸や皿、パレスチナ刺繍(ししゅう)などを販売する。

 きっかけは、神戸大学の学生として東欧のブルガリアに留学していた18年、パレスチナ自治区のヨルダン川西岸地区を訪れたことだった。

 最初は観光で5日間を過ごし、さらに1カ月間、ホームステイを経験した。ヨルダン川西岸地区はイスラエル人が入植し、どこへ行くにも軍の検問所で監視される。人権が保障されず、危険と隣り合わせの日常でも、物づくりに励む人たちと文化に魅せられた。