阪神・淡路大震災直後に地滑りの現場に駆け付けた経験を、今は資料館で語り伝える高橋一夫さん=西宮市仁川百合野町
阪神・淡路大震災直後に地滑りの現場に駆け付けた経験を、今は資料館で語り伝える高橋一夫さん=西宮市仁川百合野町

 阪神・淡路大震災では、西宮市仁川百合野町地区で大規模な地滑りが発生し、34人が犠牲になった。生き埋めになった住人の救出に走った高橋一夫さん(71)=同市仁川百合野町=は震災後、現場に足が向かなかったが、年月とともに当時を知る人は減り、「あの出来事を忘れないでほしい」という思いが強くなった。退職後、地区にある「地すべり資料館」に勤め、入館者に体験を伝える。(田中宏樹)

 当時、高橋さんは13戸の家屋が押しつぶされた地滑り現場から徒歩5分ほどの場所に住んでいた。妻や3人の子ども、近くで暮らす母親の無事を確認した直後、男性の大声が聞こえた。「崖崩れが起きとるぞ」

 現場に駆け付け、一変した光景に言葉を失った。斜面が崩落し、あったはずの建物が何もない。大きな岩が転がり、土の中で何かが燃えているのか、煙が上がっていた。