発がん性などが指摘される有機フッ素化合物(PFAS)について、神戸市西区の明石川流域で、国の暫定目標値(1リットル当たり50ナノグラム)を超える地点が13カ所あったと8日、調査を進めている丸尾牧兵庫県議らが発表した。目標値の2千倍を検出した地点もあったという。京都大の小泉昭夫名誉教授(環境衛生学)は「産業廃棄物として処理された化学物質が漏えいしている可能性が疑われる」と指摘している。
PFASは海外で発がん性などのリスクが指摘されているものの、環境省によると国内では健康被害は確認されていない。ただ全国の河川で目標値の超過がみられることから、同省は有害性の調査研究に取り組む方針を示している。
今回の調査は10月中旬、流域の25カ所で実施した。西区押部谷町のうち2カ所では10万ナノグラムと210ナノグラムを検出し、それぞれ近くに産廃処理場が存在しているという。
丸尾県議は神戸市環境保全課を訪れ、産廃事業者に対して発生源の調査などを要請するよう求める文書を提出した。
同課の中西寛光課長は「以前から数カ所で定点観測をしているが、今後はより流域を網羅した実態調査をしたい」と説明。「ただ法的規制はないため、高い数値が出た場合は発生源と考えられる事業者に自主的な対応を依頼することになる」と述べた。(井沢泰斗)
【PFAS】水や油をはじく性質がある化学物質で、食品の包装やフライパン、泡消火剤、半導体の製造などに使われ、1万種以上とされる。極めて分解されにくいことから環境中に長期間残留し、水や食べ物などを通じて人や動物の体内に蓄積される。欧米では腎臓がんや発育不良などのリスクが懸念され、飲料水の濃度などに関する規制が進んでいる。