高性能化を目指すスプリング8(理化学研究所提供)
高性能化を目指すスプリング8(理化学研究所提供)

 2029年度を目標とする大型放射光施設「スプリング8」(兵庫県佐用町)の高性能化に向け、同町は4日、企業版ふるさと納税制度を活用した基金の設立を決めた。地元自治体として世界最高峰を狙う同施設を資金面で支援し、同町に対する関連企業などの認知度を高めるのが狙い。早ければ来年早々から寄付を募る。(真鍋 愛)

 同施設は理化学研究所が運営し、1997年に利用を開始。和歌山市の毒物カレー事件のヒ素鑑定、小惑星「イトカワ」や「りゅうぐう」から持ち帰られた試料の分析にも使われたが、老朽化が指摘されていた。

 文部科学省の検討チームは8月、性能を今の100倍に向上させるべきだとする報告書を公表した。最新の放射光施設を整備する欧米や中国などに後れを取れば、国内の研究データが流出するリスクも指摘。同省は29年度に「スプリング8-2」の完成を目指すとした。実現すれば世界一の性能になるという。