父の池透暢(右)の背を追って成長を遂げ、全国舞台に挑む池壱樹=高知市(池透暢さん提供)
父の池透暢(右)の背を追って成長を遂げ、全国舞台に挑む池壱樹=高知市(池透暢さん提供)

 逆境を経て金メダルをつかんだ父の背を見て育ち、憧れの舞台を踏む。28日、首都圏で開幕する全国高校サッカー選手権に出場する神戸弘陵学園高校の背番号10、FW池壱樹(18)は、昨夏のパリ・パラリンピックを制した車いすラグビー日本代表主将、池透暢(45)を父に持つ。「こつこつ努力する姿勢を引き継ぎ、ここまで来られた」と感謝を胸に躍動を誓う。

 池透暢は19歳のときに交通事故で大けがを負い、左脚を切断して左手にも障害がある。その後、車いす競技に出合ってラグビーを始め、パラリンピックに3大会連続出場した。

 2007年に誕生した長男壱樹は「何か一つ木のような軸を持ち、飛び抜けてほしい」と命名。小学1年の頃にサッカーをしたいと伝えると、父が示した条件は地元のマラソン大会優勝だった。「心技体の『心』をしっかりして、やるからには勝ちにこだわってほしい」と透暢。練習を重ねて父との約束を見事果たし、地元のサッカークラブに入って全国大会にも出場した。