大江健三郎さん
大江健三郎さん

 欧州、中東で戦火が拡大した2023年。日本を代表する作家、音楽家が世を去った。コンビニチェーン、自動車大手の礎を築いた経営者が没した。海外では、国際政治に辣腕(らつわん)をふるった元米国務長官、中国首相を10年間務めた政治家が帰らぬ人に。著名ロックギタリストも泉下の人になった。それぞれの生きざまに思いをはせ、墓碑銘をまとめる。(敬称略、年齢の次は死去または死亡確認の月日、芸名などの人は本名略、海外は現地時間)

▼大江健三郎 88歳 ノーベル文学賞、反戦貫く

 戦後民主主義を足場に平和、護憲、反核を訴えた日本を代表する文学者。東京大仏文科在学中の1957年に作家デビュー。翌年、23歳の時に発表した「飼育」で芥川賞受賞。鋭敏で新しい感覚が評価され、作家としての地歩を築く。また、故郷の四国の森などを舞台にした「万延元年のフットボール」や、障害がある長男の光さんら家族をモデルにした作品も手がけた。「行動する作家」であり続け、「ヒロシマ・ノート」「沖縄ノート」を著し、積極的に平和を唱えた。94年、川端康成に次ぎ日本で2人目のノーベル文学賞を受賞。(3・3)

▼坂本龍一 71歳 YMO、米アカデミー作曲賞

 音楽ユニット「イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)」のメンバーで、世界的な音楽家として知られた。東京芸術大大学院修了。1978年に細野晴臣さん、高橋幸宏さんとYMOを結成し、シンセサイザーを駆使したテクノ・ポップ・サウンドで一世を風靡(ふうび)した。代表曲に「ライディーン」など。その後、大島渚監督の映画「戦場のメリークリスマス」に日本人将校役で出演し、音楽も担当。映画「ラストエンペラー」の音楽で日本人初の米アカデミー作曲賞、グラミー賞を受賞。環境問題に関心が深く、脱原発を巡り積極的に発言した。(3・28)

▼谷村新司 74歳 アリス、「昴」「チャンピオン」