亡き人を思い、安全な社会を願い、祈りが絶えることはない。25日で発生から19年がたった尼崎JR脱線事故。現場周辺では遺族や負傷者、一般参列者らが次々に訪れて手を合わせ、JR西日本の社員らは再発防止を誓った。多くの花束が供えられ、夜まで追悼の人影が続いた。
神戸市灘区の菅尾美鈴さん(75)は、事故で命を落とした長男吉崇さん=当時(31)=を思い、目を閉じた。川西市に住み、通勤のため川西池田駅から快速電車の1両目に乗っていた。遺体安置所で目にした吉崇さんは頭と腰の骨が折れ、裸で横たわっていた。体を動かしたら痛いだろうと、抱くことはできなかった。優しかった人柄に思いをはせながら「あなたを一瞬たりとも忘れたことはない」と声を詰まらせた。