長田署へ移送される金成行容疑者(中央)=神戸市中央区神戸空港
長田署へ移送される金成行容疑者(中央)=神戸市中央区神戸空港

 神戸市長田区のラーメン店で2023年4月、特定抗争指定暴力団山口組系傘下組織組長の男性店主が射殺された事件で、兵庫県警長田署捜査本部は7日、組織犯罪処罰法違反(組織的殺人)の疑いで、住所不定無職、指定暴力団絆会幹部の金沢成樹こと金成行容疑者(55)ら5人を逮捕した。捜査本部は、山口組の分裂を巡る抗争事件とみて調べる。

 他に逮捕されたのは、絆会系傘下組織組長の男(53)=神戸市▽絆会系傘下組織組長の男(47)=同▽絆会系組員の男(48)=同▽無職の男(64)=岡山市。

 5人の逮捕容疑は共謀して組織的に計画し、昨年4月22日午前10時50分ごろ、神戸市長田区東尻池町9のラーメン店内で、店主の余嶋学組長=当時(57)=を拳銃で撃って殺害した疑い。捜査本部は「捜査に支障がある」として、5人の認否を明らかにしていない。

 捜査本部によると、5人はあらかじめ役割を分担、金容疑者が単独で店内に入って銃撃した可能性が高い。捜査本部は組織としての意思決定などが背景にある抗争事件とみて、金容疑者と他の4人の関係や役割について慎重に裏付けを進める。

 捜査関係者によると、店内で拳銃は見つからなかったが、金容疑者が滞在していた仙台市内の住宅から押収された拳銃を鑑定したところ、銃弾が銃身を抜ける時に残る「線条痕」が余嶋組長殺害に使用されたものと一致したという。

 金容疑者は、長野県宮田村で20年9月、暴力団幹部に発砲して重傷を負わせたとして今年2月に逮捕、起訴され、茨城県水戸市で22年1月に山口組系組幹部が射殺された事件に関しても殺人容疑で逮捕、起訴されている。