赤穂市民病院(兵庫県赤穂市中広)で2020年1月、腰の手術中に誤って患者の神経を切断し後遺障害を負わせたとして、兵庫県警捜査1課と赤穂署は22日、業務上過失傷害容疑で、当時脳神経外科に在籍していた40代の男性執刀医と、上司で50代の男性科長を書類送検した。捜査関係者によると、調べに2人とも「自分の過ちではない」と容疑を否認しているという。
同病院は、この執刀医が着任後約8カ月間に携わった手術で計8件の医療事故を確認。このうち病院側は、書類送検容疑の1件について執刀医らの過失があったと認定していた。
捜査関係者によると、執刀医の書類送検容疑は20年1月22日、女性患者(79)の腰椎の一部を切除する手術で、出血が多く患部が確認できない状況でドリルを操作。誤って硬膜を傷つけ、神経を巻き込んで切断し両足に重度のまひが残る後遺障害を負わせた疑い。
科長については、上級医として手術の助手を務めていたが、ドリルの操作を中断させたり、十分な止血の指示をしたりすることを怠った疑いが持たれている。
病院によると、執刀医は19年7月に着任。20年2月までの約8カ月間に関わった手術で、術後に患者が死亡した2件を含む計8件の医療事故を確認したという。このうち病院側が過誤を認めたのは今回の書類送検容疑の手術1件のみで、他の7件は院内の医療事故調査委員会での検証結果に基づき過失を否定している。
県警は、病院が医療事故ではないとした他の3件を含む計11症例を捜査。19年10月2日に別の70代女性患者に行った手術でも後遺障害を負わせた疑いがあるとして、今年5月9日に業務上過失傷害容疑で執刀医と科長を書類送検した。
病院は20年3月、執刀医の手術などを禁止したが、以降も手術やカテーテル検査を行っていたことが判明。執刀医は21年8月に依願退職した。今回の書類送検を受け、病院は「現時点では回答を差し控える」とコメントした。
























