農業を営む南順子さんが手作りし、無人の販売所に並べていた自家製たくあん。遠くから買いに来るファンもいたという=神戸市須磨区車
農業を営む南順子さんが手作りし、無人の販売所に並べていた自家製たくあん。遠くから買いに来るファンもいたという=神戸市須磨区車

 道の駅や農産物直売所などに出回る漬物が、6月を境に激減している。食品衛生法の改正で、漬物製造が保健所の営業許可の対象となったことが背景にある。新たに設備投資が必要となり、高齢の作り手には許可申請をあきらめて廃業するケースも少なくない。地域の内外で評判を呼んだ逸品もあり、関係者は「目玉商品がなくなってしまった」と頭を抱える。(勝浦美香、田中真治)

 神戸市須磨区の車地区。農家の南順子さん(87)が、家族だけでは食べきれないバケツいっぱいのたくあんを前にこぼした。「毎年来てくれる人がいたけど、売るのはやめました」

 南さんは自宅近くの畑に無人販売所を設け、旬の野菜や果物に加えて、漬物を並べてきた。たくあんは、毎年秋に収穫したダイコン150本ほどを干して、ぬかや塩で漬け込む。年明けから売り出し、1袋100~200円。車で買いに来るファンもいた。