「言い続けたら誰かに届く」。阪神・淡路大震災以降の歩みを振り返る「ウィメンズネット・こうべ」の正井礼子さん=神戸市長田区久保町5
「言い続けたら誰かに届く」。阪神・淡路大震災以降の歩みを振り返る「ウィメンズネット・こうべ」の正井礼子さん=神戸市長田区久保町5

 マイクを握った女性が言った。

 「死ぬまでに誰かに聞いてほしかった」

 手に花を持ち、性暴力は許さないと訴える「フラワーデモ」。女性たちの告白が、正井礼子さん(74)の心を揺さぶった。

 5年前、神戸で初めてフラワーデモが行われたときのことだ。認定NPO法人「女性と子ども支援センター ウィメンズネット・こうべ」(神戸市中央区)の代表理事としてデモに参加していた正井さんの胸に、阪神・淡路大震災の記憶がよみがえった。

 あのとき、正井さんたちは被災地の性暴力を世に告発し、根絶を求めて運動した。それが正しかったのかどうか、ずっと思い悩んでいた。でも-。