神戸地裁=神戸市中央区橘通2
神戸地裁=神戸市中央区橘通2

 神戸市が進める都市計画道路「須磨多聞線」の建設を巡り、整備事業への公金支出は違法などとして、周辺住民らが久元喜造市長を相手取り支出の差し止めなどを求めた住民訴訟の判決が29日、神戸地裁であった。野上あや裁判長は請求を棄却した。

 須磨多聞線は同市須磨区と垂水区を結ぶ全長約7キロの幹線道路。阪神・淡路大震災直後に事業認可された。

 原告側は、同道路のうち須磨区天神町から離宮西町までの約520メートルの西須磨工区について、市は渋滞の緩和などを事業目的としていたが前提となる交通量の評価に誤認があり「渋滞自体が存在しない」と主張。道路整備による環境汚染や地域分断の恐れも訴えた。

 判決で野上裁判長は、市が過去に実施した交通量調査と国の調査結果との間に隔たりがある点について「日時が異なれば結果が異なることは不自然ではない」と指摘。また、市の計画は環境保全に配慮しており、市環境基本計画にも適合するとして訴えを退けた。

 同日、会見を開いた原告団の宗岡明弘代表(70)は「震災後30年間にわたって住民の心配や不安を訴えてきた。当然納得することができない」と述べ、控訴する方針を示した。