台風10号が接近し、激しく波が打ち付ける淡路島南部の海岸=30日午前9時56分、南あわじ市灘山本(撮影・内田世紀)
台風10号が接近し、激しく波が打ち付ける淡路島南部の海岸=30日午前9時56分、南あわじ市灘山本(撮影・内田世紀)

 台風10号の影響で、兵庫県内では29日夜、南部に線状降水帯の発生を伝える「顕著な大雨に関する気象情報」が県内で初めて発表された。猛烈な雨が降った同県南あわじ、洲本の両市は道路の冠水や停電が広がり、計10世帯13人が避難所に身を寄せた。1人を除いて30日朝までに帰宅した。

 「雷が鳴り、強い雨が休みなく降った」と南あわじ市阿万塩屋町の農業男性(74)。自宅は29日午後8時ごろから約3時間停電し、家の前を通る川の水位は普段の約10倍に上がった。「これまでにない上がり方で怖かった」と振り返る。

 同市付近では同日午後8時10分までの1時間に約110ミリの記録的大雨を観測した。県洲本土木事務所によると、同10時半から30日午前9時半までの間に、同市の県道6カ所を冠水と規制値を超える雨量のため通行止めにした。

 関西電力送配電によると、雷の影響で同市で一時約770軒が停電した。

 南あわじ市は29日午後8時10分、初めて市内全域に避難指示を発令。避難所6カ所を9世帯11人が利用した。

 同市広田広田の広田地区公民館では、近くの女性(77)が身を寄せ、30日午前も避難を続ける。「人がいるから安心。いつまでいようか判断が難しい」と今後の天候を気にした。

 洲本市は29日夜、五色町鳥飼地区の住民に避難指示を出し、1世帯2人が避難所で一時過ごした。

 台風10号は、31日午後から9月1日ごろに兵庫県に最接近する見通し。神戸地方気象台は8月30日夜から31日午前にかけ、県内で再び線状降水帯が発生する恐れがあるとして警戒を呼びかける。(上田勇紀、劉 楓音、古田真央子、荻野俊太郎)