兵庫県の斎藤元彦知事らへの告発文書問題を検証する県議会調査特別委員会(百条委員会)で、パワハラ疑惑などを調べる斎藤知事の証人尋問が30日開かれた。冒頭、斎藤知事は真実を述べることを宣誓した後、委員からの尋問に答えた。
尋問は公開で行われ、インターネット中継された。
元西播磨県民局長の告発文書に記された「県立考古博物館で公用車を降りて20メートルほど歩かされ、職員を怒鳴り散らした」という疑惑について、斎藤知事は「車の進入禁止エリアとは認識していなかった」「会議の直前で、外(屋外)でもあったので大きい声で(職員に)指摘した」と振り返り、「当時の認識としては(自分の対応は)正しかった」などと主張した。
深夜や休日に会議用アプリのチャットで叱責(しっせき)したり指示したりするメッセージを繰り返し送っていたとされる疑惑については、知事は「主に報告漏れや相談がなかったものへの指摘が多かった。案件によって、遅い時間や休日に送ったことは、やや適切でなかったかもしれない。(新県政推進室の)勝手知ったる仲ということで甘えがあったかもしれない。そこは反省しています」と釈明した。
県が尼崎市臨海部に2025年大阪・関西万博の建設資材の運搬拠点を設ける方針-との21年9月の新聞記事を巡り、担当職員らを呼びつけて「聞いてない」と机をたたいた疑惑については、知事は「(21年8月の)就任直後で、知らないところで業務が進められようとしているのではと不安を強く抱き、報告してくださいとお願いする中でたたいてしまった」と、行為を認めた。その一方で「パワハラと認めないのか」との問いには、「不適切な行為だったことは確か。パワハラに該当するかは、委員会などで認定を進めることになると思う」と述べるにとどめた。
百条委が県の全職員(約9700人)を対象に実施したアンケートで、全回答6711件のうち4568件分を集約した中間報告では約1割が、知事のパワハラを目撃したり、知る人から直接聞いたりしたと回答。「人づてに聞いた」を合わせると約4割に上った。