日本新聞協会は4日、2024年度の新聞協会賞を発表し、神戸新聞社の連載企画「里へ 人と自然のものがたり」(里へ取材班 代表・編集局映像写真部 小林良多)など6件を選んだ。10月16日に秋田市で開かれる第77回新聞大会で授賞式がある。
神戸新聞社の受賞は昨年度の「神戸連続児童殺傷事件の全記録廃棄スクープと一連の報道」に続き2年連続6度目。
「里へ」は写真企画で、22年4月から24年3月まで掲載。人口減少や生活スタイルの変化、外来種問題などがもたらす人と自然界の関係の変化をテーマに、野生動物や人の営みをレンズを通して紹介した。ドローンやウエアラブルカメラなどの機器で生きものたちの姿に迫り、23年10月には民家の裏庭に現れたツキノワグマを自動撮影カメラで捉えることに成功した。
同協会は「新たな機材を駆使した撮影手法が効果を発揮し、野生生物の姿を活写した。鮮やかな色彩と光の濃淡を生かす写真表現により、バリエーション豊かな紙面に仕上げた」と評価。「気候変動や外来種など生態系の課題にレンズを向け、変化する自然との関わり方を問いかける質の高い企画」と意義付けた。
24年度新聞協会賞は46社から88件の応募があった。ほかの受賞は次の通り。
自民党派閥の裏金問題をめぐる一連のスクープと関連報道(朝日新聞社)▽福祉事業会社「恵」の不正に関するスクープと、一連の報道(中日新聞社)▽能登半島地震「珠洲市街地に押し寄せる津波、輪島朝市通り炎上」のスクープ写真(北國新聞社)▽OSINTと3D表現技術による新たなデジタル報道手法の開拓(日本経済新聞社)▽京都アニメーション放火殺人事件連載企画「理由」と公判報道(京都新聞社)
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神戸新聞社の編集関連の受賞は、20年度の教員間暴力と神戸の教育を巡る報道や、阪神・淡路大震災10年キャンペーン「守れ いのちを」(05年度)、京都新聞社との合同震災企画「生きる」(1995年度)、「淡路における住民参加の共同社会開発」(65年度)がある。