地震によって町野町につながる道路はことごとく寸断され、孤立した=7月、石川県輪島市町野町(撮影・長嶺麻子)
地震によって町野町につながる道路はことごとく寸断され、孤立した=7月、石川県輪島市町野町(撮影・長嶺麻子)

■識者「日本のどこでも起きうる」

 集落の過疎化は「もう一つの災害」。関西学院大災害復興制度研究所の山泰幸所長(54)=人間福祉学部教授=は言った。どういうことか。

 災害とは、自然の脅威に限らない。じわじわと進行し、社会のリスクを高めていくものも災害であり、過疎もその一つだという。

 能登半島は、全国平均を上回るペースで高齢化が進んでいた。元日の地震で震度6強以上を観測した6市町の高齢化率は44%(全国平均は29%)。珠洲(すず)市は52%、輪島市は46%に達していた。

 人口減少も深刻で、同じ6市町における2020年の人口は1985年の6割にまで減っていた。

 過疎という災害が進んでいた地域に、大地震が起こる。山所長はそれを「多重被災」と語った。

■「助けが来ない」と覚悟