世界文化遺産・国宝姫路城(姫路市本町)の城内で江戸期の職人らが城を築き、修理する技術をつないだ作業場「作事場(さくじば)」について、姫路市が基本構想から38年を経て、復元事業に本格着手することが分かった。跡地にある市立動物園の移転が決まり、入城料を値上げする方針が固まったことで財源を確保できると判断。作事場が残る城は全国でほとんどなく、伝統工法を扱える職人が減る中、市民が技術を学べる場にしたい考えだ。(井上 駿)
姫路城は江戸初期の1609年に前身の城を大改築して完成し、8年後の17年に現在の形になってからも修理を繰り返してきた。その職人らが城内で拠点としたのが作事場だ。
市によると、現在の動物園(約3ヘクタール)の一角にあり、内堀に囲まれた約7千平方メートルの島のような場所に材木小屋や左官小屋、絵図の保管所などが並んでいた。