全国の河川や地下水などから検出が相次ぐ「有機フッ素化合物(PFAS)」を巡り、自治体が難しい対応を迫られている。発がん性などの健康リスクを踏まえて規制を進める欧米とは対照的に、国内ではいまだ評価が定まっていないからだ。住民が不安を募らせる中、担当職員は「根拠となる法的な後ろ盾がなく、事業者に対策を強制できない」と戸惑うが、専門家は「発生源の調査など、もう少し踏み込んだ対応は可能」と指摘する。(井沢泰斗、谷川直生)
■神戸 ミネラルウオーターから検出
「神戸市内で製造されたミネラルウオーターから、水道水の暫定目標値を超えるPFASが確認された」-。2022年末、厚生労働省から突然、市に連絡が入った。
現状、PFASに関する指針は水道水や河川で「1リットル当たり50ナノグラム以下」という目標値があるのみ。食品にはその指針すらない。法的権限がない中、現地調査をした上で濃度を低減できる活性炭処理を製造業者に提案した。期限内に低減できない場合、販売停止を求め、商品名を公表する可能性も示した。市が残した対応記録からは、双方の難しいやりとりがうかがえる。
























