竹内英明・前兵庫県議が亡くなった理由は明らかになっていないが、亡くなる数日前まで、ネットでの誹謗中傷や根拠のない臆測による批判などに悩んでいたことを周囲に吐露していた。
「SNSは見ないようにしていても、信頼していた身近な人に『ネットの情報は本当か』と聞かれることがあり、『それが一番つらい』と話していた。普段は気丈な彼が、まるで別人のように弱気になっていた」
亡くなる2日前に電話で話した同僚県議が明かす。「夜中に物音がすると眠れない。恐怖を感じる」と語ることもあったという。
竹内氏は、百条委員会の委員として告発文書問題を厳しく追及。昨年11月の知事選ごろから「元県民局長の告発や自殺などに関与している可能性が高い」などといった根拠のない主張が含まれる動画や投稿がSNS上で拡散された。
SNS上では竹内氏のプライバシー情報を知人の一人が投稿。別の知人らがプラットフォームに通報したが、対応できないと返答があり、投稿者を説得して削除された。
26年間の付き合いがあった国会議員秘書(50)は「家族への攻撃が本当につらいと話していた」と証言する。自宅に嫌がらせの電話が相次ぎ、インターホンを押して逃げる「ピンポンダッシュ」のような行為もあったと聞かされていた。
一方、SNS上では告発文書問題を巡り、斎藤知事への誹謗中傷の書き込みも目立つ。兵庫県はネット上の中傷や差別を防ぐ条例制定を検討しているが、行政がどこまで情報の削除要請に介入するかは、憲法が保障する「言論の自由」との兼ね合いが課題となる。
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自殺を思いとどまってもらおうと、公的機関や民間団体が相談窓口を開いている。
兵庫県は、平日昼間は各地域の健康福祉事務所で、夜間や土日祝日は「いのちと心のサポートダイヤル」で電話相談に応じる。
このほか、弁護士や精神保健福祉士が対応する窓口(TEL078・341・9600)では、家庭生活や経済問題など専門的な問題に即応し、心のケアも担う。神戸市が開設する「神戸市こころといのちの電話相談」(TEL078・371・1855)もある。