材料費の高騰や人手不足の影響で、自治体の公共工事が翻弄されている。新たな文化会館の建設を目指した兵庫県豊岡市では、計画策定から5年で事業費が1・8倍に膨張。施工業者を募って入札を行ったが、予定価格をオーバーするなどして不成立が相次いだ。救命救急センターの整備でも入札の参加辞退があり、計画の断念や変更を余儀なくされている。(丸山桃奈)
■事業費は当初計画の1.8倍
「ここまで高騰の影響があるとは思っていなかった」。豊岡市新文化会館整備推進室の村田一紀室長(57)は断念した計画を振り返る。
事業費を約65億円と見込み、3度にわたって工事の入札を行ったが、いずれも落札者はなく、不調に終わった。市が業者に聞き取りをすると、円安と原油の高騰で資材費が上がり、市が見積もった事業費では足りないという。深刻な人手不足を訴える声もあった。