夜間中での学びや映画について語る西畑保さん=尼崎市東園田町8、尼崎市立園田東小学校
夜間中での学びや映画について語る西畑保さん=尼崎市東園田町8、尼崎市立園田東小学校

 義務教育を受けられなかった人たちが通う「夜間中学校」を舞台にした映画が近く、相次いで上映される。兵庫県内には公立夜間中学校が神戸市に2校、姫路市と尼崎市に1校ずつあるが、県内の義務教育未修了者は約3万4千人に上る。夜間中のさらなる充実を求めてきた関係者らは、上映を機に現状を知ってほしいと訴える。(高田康夫)

■「初めて住所と名前が書けた」

 「自分の字は、月の光よりきれいやなあと思った」

 1月31日、尼崎市立園田東小5年生の教室で自らの経験を語った元すし職人、西畑保さん(89)=奈良市=は、夜間中で初めて自分の名前が書けたときのことを児童から問われ、そう振り返った。

 貧しい家庭に生まれた。小学2年生のときにいじめられて学校に行かなくなった。その後、料理人になったものの、読み書きできないことで嫌がらせを受け、職場を転々とした。