建て替え構想をめぐり、陰謀論が浮上した兵庫県庁舎=2024年11月、神戸市中央区
建て替え構想をめぐり、陰謀論が浮上した兵庫県庁舎=2024年11月、神戸市中央区

 大規模地震で倒壊の恐れがある兵庫県庁舎1、2号館をめぐり、前知事の井戸敏三が2019年に打ち出した構想は両庁舎を統合して新庁舎を建て、隣にホテルを誘致するというものだった。25年度の完成を目指し、詳細設計や業者選定はこれからだった。

 21年8月、知事となった斎藤元彦はこれを撤回。約1年半が過ぎて新たな方針を打ち出したが、この間に井戸構想の試算は、当初の最大720億円から1千億円を超えるまでに膨れあがった。資材が高騰していたためだ。

 「両庁舎を解体して緑地化する」「新耐震基準を満たす施設に職員を収容し、テレワークを進めて出勤率4割を目指す」。斎藤の方針に対し、災害対応や県民サービスの観点から、職員や議会だけでなく有識者検討会からも新庁舎の整備を求める声が上がる。