兵庫県の告発文書問題を巡り、斎藤元彦知事のパワハラ行為の一部を認定した県の第三者調査委員会の調査報告書を受けて、斎藤知事は26日、会見で「第三者委員会の認定は認める」と語り、初めて自身のパワハラを認め、謝罪した。一方、第三者委は文書問題への一連の県の対応を「違法」とも指摘したが、斎藤知事は「指摘を重く受け止める」とした上で、文書に対しては「誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書であるという考えは変わらず、県として適切に対応した」と従来通りの主張を繰り返した。
第三者委の報告書は、調査した斎藤知事のパワハラ疑惑16項目のうち10項目をパワハラと認定した。斎藤知事はこれまで「業務上必要な指導だった」との見解を示していたが、26日は「第三者委の基準の中で良くないと認められた。真摯に受け止める」とした。会見に先立ち同日午前にあった県議会定例会の閉会あいさつでは「職員の皆さまに不快な思いや負担をかけてしまったことを心からおわびする」と謝罪していた。
第三者委の報告書は、斎藤知事が告発文書を把握後に側近に「告発者捜し」を命じたことが公益通報者保護法に違反するとも認定。告発文書作成と配布を理由とした告発者への懲戒処分は「裁量権の乱用で無効だ」と指摘していた。
これに対し斎藤知事は26日、「(懲戒処分の理由とした)四つの非違行為について三つは、第三者委員会も有効・適法としている。(違法性の)指摘は重く受け止めるが、専門家でも意見が分かれており、対応は適切だった」と主張した。自身に対する処分など責任の取り方を問われ「改めるべきところは改め、襟を正して仕事を進める態度を示す」とし、具体的な案は示さなかった。
告発文書は昨年3月に元県民局長が作成し、匿名で報道機関などに配布。文書の存在を知った斎藤知事と側近が職員へのメール調査などをして、元県民局長を特定した。元県民局長は4月に庁内の公益通報窓口に通報したが、県は「文書は公益通報ではなく、誹謗中傷文書だ」として停職3カ月の懲戒処分にしていた。
【告発文書問題】兵庫県西播磨県民局長だった男性が2024年3月、斎藤元彦知事のパワハラ疑惑など7項目を挙げた告発文書を作り、関係者らに送付した。4月に県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じる公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査で誹謗中傷文書と認定し、5月に停職3カ月の懲戒処分とした。これに対し調査の中立性を疑う声が出て、県は弁護士でつくる第三者委員会を設置。県議会も6月、調査特別委員会(百条委員会)を設けた。証言する予定だった男性は7月に死亡した。9月、県議会の不信任決議を受けて斎藤知事は失職したが、11月の知事選で再選された。
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