城下町の初夏を彩る「第75回姫路お城まつり」が16日開幕し、姫路市本町の姫路城三の丸広場では、半世紀以上続く恒例の「姫路城薪能(たきぎのう)」が開かれた。雨天のため一部演目が途中で終了したが、観客は世界文化遺産で繰り広げられた幽玄の舞に酔いしれた。
幕開けの演目は、今の神戸市須磨区付近が舞台の能「松風」。姉妹の松風と村雨が平安時代の歌人・在原行平との恋を語り、恋慕の情に悩むさまをしっとりと披露した。狂言「文山立」では、2人の山賊が果たし合いを前に遺書を書くうち、仲直りするまでのやりとりを軽妙に描いた。
まきに灯がともると雨脚が徐々に強まり、能「舎利」は、10分足らずで中断された。それでも観客は、鬼「足疾鬼」と神「韋駄天」の荒々しく激しい舞に惜しみない拍手を送った。
まつりは18日まで。17日には姫路城周辺で、元プロ野球選手の糸井嘉男さんが殿様役を務めるパレードや、タレントの鈴木奈々さんが参加する総踊りなどがある。(真鍋 愛)