「子どもの声に耳を傾けられる弁護士に」－。そう笑顔で語る男性が神戸市にいる。保育士資格を持ち、弁護士として日々、離婚やいじめなど子どもが関わる事案に精力的に取り組む。司法の場などには、子どもに寄り添う制度があるものの、まだ普及していない現状を変えようと、子どもたちと向き合っている。（村上貴浩）
■転機は福知山で起きた露店爆発事故
神戸市中央区相生町４の「至道法律事務所神戸オフィス」で代表を務める弁護士の稗田崇宏さん（３１）。ＪＲ神戸駅近くの事務所には、絵本やおもちゃのキッチン、ぬいぐるみなどがそろえられたキッズスペースがある。稗田さんは「子連れの人や、別居する親子の面会交流のために用意したこだわりのスペースです」と話す。
１９９４年、京都府福知山市生まれ。年齢の離れた妹の面倒をよく見た。母親が教師だったこともあり、高校時代は教師を目指していた。「別の道も探しなさい」。将来の選択肢を広げるよう、母に助言され、受験勉強に励んで京都大学法学部に進学した。
