「誰だ裏山へ逃げる卑怯者は」。当時の長田署が出した看板を報じる1945年6月27日付の神戸新聞
「誰だ裏山へ逃げる卑怯者は」。当時の長田署が出した看板を報じる1945年6月27日付の神戸新聞

 太平洋戦争末期の米軍による本土空襲で、市民の被害を拡大させた一因とされる法律がある。戦前に制定された「防空法」だ。国民に空襲時の避難を禁じて消火を義務づけ、違反すれば罰則もあった。この法律に基づき、警察は避難する市民を取り締まり、新聞も避難ではなく消火を呼びかけた。専門家は「防空法の存在が市民への重圧となり、被害が拡大した」と指摘する。(杉山雅崇)