大阪・関西万博会場(大阪市此花区・夢洲)と尼崎市臨海部で、「空飛ぶクルマ」の2地点間デモ飛行を計画していた丸紅は8日、万博会期中の実施を見送ると発表した。英国製5人乗り機体の飛行試験が同国で想定通りに進まず、間に合わなくなったという。一方、同社が万博会場で行う別機体のデモ飛行は、4月下旬の機体破損で中止されていたが、近く試験飛行を行って再開する方針となった。
尼崎-万博会場間の約3キロを結ぶデモ飛行は、丸紅が英バーティカル・エアロスペースの機体を使い、10月に約2週間の運航を目指していた。丸紅は空飛ぶクルマ事業を継続し、将来的に日本でも運航する計画に変更はないという。
兵庫県は、空飛ぶクルマの補助事業を展開するほか、尼崎市の埋め立て処分場「フェニックス事業用地」内に暫定の離着陸場を計約4千万円かけて整備。県担当者は「飛行見送りは仕方がないが、大変残念。社会実装への取り組みは今後も進める」とした。
一方、丸紅が万博会場で行う米リフト・エアクラフト製の1人乗り機体のデモ飛行は、4月下旬に部品が落下するトラブルが発生。丸紅や、8日に会見を開いた日本国際博覧会協会(万博協会)によると、一部に仕様と異なる部品が使われていたことが分かり、交換や再点検を経て再開方針が決まった。9日以降にテスト飛行を行い、デモ飛行が再開できれば21日まで行うとしている。
万博でのデモ飛行は他に、スカイドライブが今月31日~8月24日に、ANAホールディングスと米ジョビー・アビエーションのグループが9月下旬~10月13日に予定する。(岩崎昂志)