過去最多タイの13人が争った兵庫選挙区(改選数3)は、前明石市長で無所属新人の泉房穂氏(61)がトップで初当選を決めた。2番手、3番手争いは、公明現職の高橋光男氏(48)と、自民現職の加田裕之氏(55)が制してともに再選。維新新人の吉平敏孝氏(44)は及ばず、維新は議席を失った。
兵庫選挙区は改選数が3となった2016年以降、自民、公明、維新が議席を分け合ってきたが、泉氏の立候補で情勢が変化。過去2回トップ当選を重ねた維新の候補が落選し、退潮傾向があらわとなった。
泉氏は衆院議員を経て明石市長となり、暴言問題で一度は政治家引退を表明。その後、コメンテーターとして活動していたが、政界復帰を決め、立民県連から推薦を得た。国民負担の軽減や市長時代の実績を訴えて幅広い支持を集めた。
公明の高橋氏は、支持母体である創価学会の高齢化による集票力低下に直面。備蓄米放出や減税と現金給付を前面に打ち出し、推薦を得た自民の支持層の一部にも浸透した。
自民の加田氏は、政治資金の不記載で自身も処分を受けた派閥裏金事件や政権批判の逆風にさらされた。物価高対策や防災対策を強調したほか、県議16年、参院議員6年の経験もアピールし、支持をつないだ。
大阪に次ぐ支持基盤を築いた兵庫で議席の確保をかけた維新の吉平氏は、社会保険料の引き下げを強調。党の吉村洋文代表が何度も兵庫入りしたが、敗れた。
参政の藤原誠也氏(37)は「日本人ファースト」を掲げ、外国人対策の必要性を主張。勢いを得たが議席には届かなかった。
国民の多田ひとみ氏(45)は消費減税やネットの誹謗中傷対策を訴えたが及ばなかった。諸派元職の立花孝志氏(57)はメディア批判を展開した。
兵庫選挙区の投票率は60・47%で前回から8・85ポイント上昇した。
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