左脚だけ黄色い長靴姿で境内を闊歩するカモは、生田神社(神戸市中央区)生まれの2歳の雌「すーちゃん」。どこか得意げに見える表情やしぐさは、参拝に訪れた外国人観光客らの視線を一身に集める。
犬用の靴という長靴を履くのは、生まれて間もないすーちゃんが、境内の池でスッポンにかみつかれたことに始まる。動けなくなっていたところを職員の池島一憲さん(65)らが保護し、車いすを作ったり、椅子用の靴下を用いたりと、工夫して日々を支えてきた。
同神社内では、すーちゃんの母鳥やきょうだいたちが、森や池で思い思いに過ごしている。彼女だけは普段、建物内でリハビリに努め、過ごしやすい日には長靴をはめ、池島さんと一緒に境内へと繰り出す。
池島さんは「みんなに笑顔や元気を与えてくれたらね」と目を細める。(丸山桃奈)