神戸どうぶつ王国の4羽のハシビロコウ。頭頂部の「冠毛」の生え方やくちばしの色などに違いがある。
神戸どうぶつ王国の4羽のハシビロコウ。頭頂部の「冠毛」の生え方やくちばしの色などに違いがある。

 「動かない鳥」として知られるハシビロコウ。神戸・ポートアイランドの神戸どうぶつ王国では今春、新たに2羽が仲間入りし、飼育数は4羽となった。一見4羽とも同じように見えるが…。それぞれを見分ける方法はあるのだろうか。(中村有沙)

 ハシビロコウはアフリカ中央部の湿地などに生息し、体長110~140センチ、体重4~7キロほど。大きなくちばしが特徴だ。

 飼育下で繁殖させるのは難しく、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは絶滅危惧2類に指定されている。

 神戸どうぶつ王国によると、世界での飼育数は約30羽。国内では、千葉市動物公園(千葉市)やのいち動物公園(高知県香南市)など7園に15羽がいる。神戸の4羽は、上野動物園(東京)と並んで国内最多だ。

 神戸の4羽のうち古株の2羽は、2014年から飼育する雄のボンゴ(推定12歳)と、15年にやって来た雌のマリンバ(同10歳)。新入りは雄のサカラ(同2歳)と雌のクラル(同2歳)で、4羽ともアフリカの民族楽器にちなんで名付けられた。

 現在はボンゴとマリンバ、サカラとクラルのペアを同じ空間で展示。4羽の特徴を飼育担当の長嶋敏博さん(36)が教えてくれた。

 共通しているのは、雄が雌より大きいこと。体長だけでなく、くちばしや頭も雄が大きい。「立っている状態だと、ぱっと見て分かるくらい違う」

 ボンゴとマリンバは、頭頂部の「冠毛」の生え方が異なる。マリンバは毛が広がっているが、ボンゴはまとまっている。新入りの2羽はくちばしの先の色が違う。サカラは肌色っぽく、クラルは黒い。

 年齢による差もある。新入りは目が黄色っぽく、羽は全体が黒色。古株は目が青く、羽は黒から白にグラデーションがかっている。

 観察する上でのお勧めポイントを聞いた。「よく正面から見ると怖いと言われるが、横からだと口角が上がって笑っているように見える」と長嶋さんは目を細めた。

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 神戸どうぶつ王国がハシビロコウの飼育を始めてから11年。広報担当者によると近年、人気がじわじわと広がっている。開園から閉園まで様子を観察したり、4羽の中で「推し」を決めたりする常連さんもいるという。

 大阪府高石市の会社員(57)は、ハシビロコウ目当てで4回目の来園。「ブサカワな表情に癒やされる。りりしい目で見られている感があるのが良い」と声を弾ませた。

 人気を背景に、グッズの数も増えつつある。同施設が販売するグッズのうち、ハシビロコウの関連商品は約1割。ほかの動物と比べると、ハシビロコウの商品の売り上げが最も高いという。

 ボンゴとマリンバの特徴を生かしたぬいぐるみや、写真をあしらった文房具などオリジナルのグッズが特に人気だ。今春からは、売り場に常設のハシビロコウコーナーも登場した。

 「カチューシャやストラップを入れて、ハシビロコウを背に写真を撮影する光景もよく見かける」と広報担当者。「西日本最多の頭数をここで見られるようになったことも影響しているのでは」と話した。

 午前10時~午後5時。木曜休み(12月25日は開園)。ハシビロコウの繁殖を目的とした展示エリア「ハシビロコウ生態園Bigbill(ビッグビル)」では、午前10時~午後1時がボンゴとマリンバ、午後1時半~閉園はサカラとクラルを展示している。神戸どうぶつ王国TEL078・302・8899