運転操作を誤って城ケ丘墓地公園(兵庫県三田市福島)ののり面に転落、出火した軽乗用車から、高齢の夫婦を救出したとして、同公園職員の竹内幹雄さん(55)=同市東野上=に、県の善行賞「のじぎく賞」と市消防本部の感謝状が贈られた。その後、車全体に火の手が回っており、竹内さんのとっさの判断が2人の命を救った。(谷川直生)
三田署や同本部によると、事故は2日午後1時40分ごろに起きた。70代男性が同墓地に駐車しようとしたところ、アクセルとブレーキを踏み間違え、前方ののり面に転落。斜面で横転し、運転席が下の状態で停車した。
竹内さんは当時、事故現場から約200メートル離れた場所で墓の清掃をしていた。車がタイヤを空転させるような音が聞こえ、その方向を見ると、「あるはずのない場所に車が見えた」。すぐに駆け付けたが、ボンネット付近から火が上がっていたという。
竹内さんは他の職員に119番を依頼するとともに、迷わず助手席のドアを開けた。車内では、男性が助手席に乗っていた妻を避難させるため、下から押し上げており、竹内さんはすぐに妻を抱きかかえて救出。続けて男性も抱きかかえ、車外に倒れ込むように引っ張り出した。
出火から2人の救出までにかかった時間はわずか2分。救出中にも火は勢いを増しており、竹内さんの髪の襟足も焦げていたという。救出された男性にけがはなく、妻は手にやけどを負う軽傷だった。
「小学校区の防災訓練に毎年参加し、救助の様子を見ていたことが生きた」と竹内さん。「最初は火が小さく、これなら間に合うと思った。助け出せた時はほっとした」とし、受賞については「賞状を二つももらえて光栄です」と喜んだ。
同本部で19日にあった贈呈式では、三田署の南沢英志署長が「2人とも大きなけがなく済んだが、竹内さんの行動がなければ大きな被害になっていた」と謝意を述べ、大西孝男消防長は「消防職員一同も気持ちに応えるべく頑張っていく。勇気ある行動に感謝する」と話した。
























