精神障害の労災請求の推移
精神障害の労災請求の推移

 長時間労働やパワハラなどに伴う精神障害での労災申請が増え続けている。政府内に「労働時間規制の緩和」を巡る動きもあり、長年、啓発に取り組んできた過労死遺族らは「流れに逆行している」と危機感を募らせる。11月は過労死等防止啓発月間。「誰にも同じ思いをさせたくない。相談して一歩踏み出せた」。労災認定を受けた兵庫県内の当事者も自身の経験を踏まえ、相談を呼びかけている。(若林幹夫)

■「アドバイスくれる人、必ずいる」

 声を上げているのは、大手運送会社を過労で休職し、労災認定を受けた元ドライバーの男性(54)=姫路市。労災申請のきっかけは相談窓口にかけた電話だった。

 男性が体調を崩したのは2016年。自身も配達に出ながら各ドライバーへの営業指示や勤務調整を担う主任を務めていた。同年4月に担当が忙しいエリアに変わった。慢性的な人材不足で「がっつりサービス残業が多くなった」。再配達となった荷物の整理も深夜までかかり、1カ月の残業は80時間を超えた。