神戸地裁姫路支部=姫路市北条1
神戸地裁姫路支部=姫路市北条1

 重度の呼吸障害があり、たん吸引が必要な寝たきりの娘を自宅に放置して窒息死させたとして、保護責任者遺棄致死罪に問われた母親の嶋田未左希被告(33)に対する裁判員裁判の判決公判が28日、神戸地裁姫路支部であり、佐藤洋幸裁判長は懲役2年8月(求刑懲役4年)を言い渡した。

 判決などによると、嶋田被告は2023年1月27日午後、気道を確保するためにたん吸引が必要だった愛美優さん=当時(8)=を姫路市内の自宅に放置して外出し、窒息死させた。

 愛美優さんは生後2カ月の頃、嶋田被告の元夫からの虐待で脳に障害を負い、寝たきりの状態になった。同被告はショートステイや訪問介護を利用しながら、自宅で介護していた。

 公判では、入眠時や安静時における数時間おきのたん吸引の必要性や、吸引をしなかった場合の危険性を嶋田被告が認識していたかどうかが争点となった。

 佐藤裁判長は判決理由で、医師らの証言から「入眠しているからといって、たん吸引が不要になるものではない」と指摘。嶋田被告は「吸引しないと苦しい思いをする」などと供述しており「怠れば死んでしまいかねないと分かっていたと認めるべき」とした。

 一方、ショートステイを好きなときに利用できないなど酌量すべき事情にも言及。「周りに味方になる人はいる。困ったときは相談し、助けを求めてほしい」と説諭した。