水平線が明らむ。中心には神戸ポートタワーと海洋博物館。それらを見守るようにビルが取り囲む。赤や青の糸で織り込まれた街並みはどこか懐かしく、温かくともる灯が胸に残る。
戦後間もない頃に誕生した大衆演劇専用の新開地劇場。1995年の激震で当時の劇場は全壊した。建設中だった現在の劇場も被害を受けながら、同年末に何とか再出発を果たした。
舞台に掛かる緞帳(どんちょう)は、高さ約5メートル、幅約10メートルの西陣織。運営する大和興行の渡辺春美前社長らによる特注品だ。1年がかりで仕上がったミナト神戸の景色には「大衆演劇の発信地」としての覚悟がにじむ。
地元への強い思いはいつしか復興への希望と重なった。再開当初、幕いっぱいに広がる街の夜明けと無数の明かりを目にし、涙を流す観客もいたという。
あれから31年を前に劇場を訪ねた。開演前、来場した女性たちがお互いに気づき、遠くから手を振り合う。再会を喜ぶ笑顔が「あの日」への想像を一層かき立てた。(風斗雅博)























