衆院選が始まり、候補者の訴えに耳を傾ける有権者ら=27日午前、尼崎市内(撮影・大田将之、画像の一部を加工しています)
衆院選が始まり、候補者の訴えに耳を傾ける有権者ら=27日午前、尼崎市内(撮影・大田将之、画像の一部を加工しています)

 前回の衆院選公示からまだ1年3カ月。この間に政界はめまぐるしく動いた。首相交代、連立政権の枠組み変更、野党勢力の合流による新党結成。そして兵庫では、四半世紀続いた「自公対野党」の構図が大きく変わった。一方で、有権者は物価高などの苦難に直面したままだ。各党、各候補者は何を訴え、より良い暮らしへの道筋を示すのか。12日間の戦いが火ぶたを切った。

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兵庫11区・前職引退、30年ぶり5人名乗り

 衆院議員を通算9期務めた自民党前職、松本剛明元総務相(66)が引退した兵庫11区(旧姫路市)。自民は新人を擁立し、前回松本氏と争った日本維新の会の元職、共産党と参政党の新人も名乗りを上げた。国民民主党の新人も初参戦。30年ぶりに5人がしのぎを削る激戦区となった。

 2年前に就任した姫路市副市長を辞職し、自民の公認候補として立候補した山田基靖氏(43)。党公認を得たのはわずか4日前で、知名度不足を補うため、支持を求めて地元企業への働きかけを強めた。選挙戦では、物価高対策や国益を守る外交の実現を主張する。

 与党として臨む維新の元職、住吉寛紀氏(41)は、同市の船場公園で第一声を上げた。前回は松本氏に約3万票の差をつけられ、比例復活も果たせなかった。浪人中も街頭に立ち、政策の訴えを続けてきた。「動かない政治を動かす」。支援者を前に力強く訴えた。

 国民新人の中原立貴氏(35)は同市の事務所で出発式に臨んだ。今回初めて11区に候補者を立てた国民。同じく旧民主党の流れをくむ立憲民主党と公明党の新党「中道改革連合」の候補者が不在の選挙区で「労働者の手取りを増やす」と党の看板政策を打ち出した。

 今回、県内の全12選挙区に候補者を擁立した共産。新人の苦瓜一成氏(72)は同市の事務所前でマイクを握り「大企業中心の自民党政治、米国言いなりの外交を正す」と強調した。

 前回に続き再挑戦の参政新人の山下聖氏(41)は、同市の国道2号交差点で第一声。「現政権の古い政治をしっかりと倒す」と訴え、支持を呼びかけた。(まとめ・有島弘記)

兵庫8区・公明撤退、自民と維新激突

 公明党が長年にわたり「牙城」とした兵庫8区(尼崎市)は、政権離脱と小選挙区からの撤退に伴い、自民党が30年ぶりに公認候補を立て、日本維新の会の前職との与党対決となる。そこに公明と立憲民主党の新党「中道改革連合」が割って入り、他の野党2党とともに5人の争いとなった。

 尼崎は自公政権で選挙協力の象徴だったが、高市内閣の発足をきっかけに構図が流動化。自民県連で独自候補擁立の機運が高まり、参院議員だった青山繁晴氏(73)に白羽の矢を立てた。出陣式に集まった関係者らを前に、青山氏は「30年も候補者を立てなかったのは恥ずべきこと。失われた30年を取り戻さないといけない」と気勢を上げた。

 公明と立民がタッグを組んだ中道は、公明の支持母体・創価学会が築いた強固な地盤を生かせるかが鍵を握る。立民出身の新人弘川欣絵氏(50)は「物価高の今、生活は本当に苦しい。当たり前の生活を守るために庶民の声を届けたい」と訴え、生活者ファーストの政策を強調した。

 維新は与党となって初めて衆院選に挑む。尼崎では自民との選挙協力はなく、前職の徳安淳子氏(64)は「自民だけでは改革はできない。維新が与党の立場から進めたい。まだまだやるべきことがある」と声をからした。

 共産党新人の板東正恵氏(45)と、れいわ新選組新人の長谷川羽衣子氏(44)も立候補を届け出た。(金 旻革、小林良多、久保田麻依子)