呼吸のタイミングによって暗記の効率に差が出ることを解明した中村望助教=西宮市武庫川町、兵庫医科大
呼吸のタイミングによって暗記の効率に差が出ることを解明した中村望助教=西宮市武庫川町、兵庫医科大

 暗記のコツは息を吐く後半にあり-。兵庫医科大学(西宮市)の中村望助教(55)=神経科学=らの研究グループが、記憶と呼吸の関係性を脳科学の側面から解明し、論文が国際科学雑誌に掲載された。暗記するときと回答するときのタイミングは、息を吐ききる直前が最も効率的であることを明らかにした。中村助教は「コツを意識すると、勉強やダンスの振り付けなど、日常の身近な場面で効果を発揮できる」としている。(久保田麻依子)

 研究の出発点は自身の経験にある。学生時代から打ち込むサッカーや空手は、相手の動きを瞬時に察知する絶妙なタイミングが求められる。慣用句の「あうんの呼吸」も着想の一つ。「相手や自分の呼吸は、記憶の獲得に深く関係しているのではないか」。海外の大学などを経て、約10年前から脳科学と呼吸の研究に本格的に取り組んだ。

 中村助教は、記憶の過程には「覚える」「定着させる」「思い出す」の三つのステージがあると説く。2023年には、マウスを使った「覚える」段階の研究を発表。恐怖経験を結びつけた際の呼吸のリズムや頻度について、覚える瞬間に呼吸を止めると、恐怖経験自体を覚えることができないことが分かった。