今秋のラグビー・ワールドカップ(W杯)フランス大会で、日本は1次リーグ2勝2敗で終わった。前回に続く8強入りは逃したが、強豪相手に一歩も引かないプレーでファンを沸かせた。その中で、安定したスクラムで存在感を示したのが、具智元(ぐじうぉん)(29)=コベルコ神戸スティーラーズ=だ。最前列の3人のうち右側で組むプロップで、ポジションを示す背番号は「3」。韓国出身だが、桜のジャージーへのこだわりは人一倍。努力を惜しまず、素朴な笑顔で「ぐーくん」と親しまれる。【前半】【後半】の2部にわたって、その魅力に迫りたい。
9月17日夜、地中海に面したリゾート地のニース。日本はW杯1次リーグ第2戦でイングランドと対戦した。ラグビー発祥地でW杯では優勝1度、前回は準優勝の強豪だ。日本は過去10戦で全敗している。
イングランドのスクラムは伝統的に強い。昨秋に日本が遠征した際は、スクラムを崩す「コラプシング」などの反則を立て続けに取られ、13-52で完敗した。具智元も反則をしたとされ、「連続で取られてしまって、何が正解か分からなくなった」と振り返る。