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第7波「ほとんどが軽症」 感染時の対応は? 県豊岡・朝来健康福祉事務所の柳所長に聞く

2022/08/27 05:30

 新型コロナウイルスの流行「第7波」で、但馬地域でも1日当たりの新規感染者数が急増している。23日には過去最多の422人が確認された。県豊岡・朝来健康福祉事務所の柳尚夫所長に、感染が疑われる時の対応や医療現場の状況について聞いた。(聞き手・丸山桃奈)

 -第7波の特徴は。

 「感染力が強く、今までになく感染者が増えている。第1波などで大きな特徴だった嗅覚・味覚障害や、肺のエックス線写真ですりガラス状の影を伴う肺炎なども見られなくなり、ほとんどが軽症だ」

 -但馬地域ではどうか。

 「豊岡管内では、7月25日~8月21日の間、新規感染者のうち自宅療養が98・4%を占める。この比率はどの年代でもほぼ共通。世界的に日本が最も感染者が増えているといわれるが、欧米では重症化率の高かった第1波で感染が急拡大し、医療崩壊が起こった。重症化や死亡の割合が低い局面での感染拡大は、不幸中の幸いだ」

 -第7波で医療現場はどうなっているのか。

 「逼迫(ひっぱく)している。軽症であっても、コロナの症状が出たら『病院で受診』という流れが変わっていないからだ。但馬地域も例外ではない。院内でコロナ感染が確認された公立豊岡病院で医療スタッフが手薄となり、(コロナ以外の傷病による)不急の入院や手術を延期している状況。ほかの病院でも(コロナの陽性が疑われる人からの)問い合わせが朝から殺到し、電話がつながりにくい状態だ」

 -病院でコロナの受診をしなくていいのか。

 「要介護状態の高齢者や基礎疾患のある人はその限りではない。食事や水分がとれなくなり、熱が何日も下がらなければ、迷わず受診してほしい」

 -健康な人はどうか。

 「病院で診察を受ける必要はない。65歳未満で基礎疾患のない人は軽症で済むケースが多い。最初は高熱や喉の痛みが出るので驚くと思うが、ほとんどが1~2日で熱が下がるからだ。自宅で様子をみてほしい」

 「県が独自に始めた『自主療養制度』をうまく活用してほしい。県や各市町などから申し込むと、数日後に抗原検査キットが届く。個人が自ら検査し、陽性と判明すれば、専用ホームページ(HP)で届け出れば療養開始とみなされる」

 -自宅療養後は。

 「医療保険の請求に使える『自主療養証明書』が発行される。制度を利用することで、医療逼迫のリスク低減につながる。万一に備えて、薬局などで事前に検査キットを購入しておくのも一つの手だ」

 -求められることは。

 「重症者や治療が必要な人が確実に受診できるようにすること。医療現場が逼迫すると、コロナが重症化したり、ほかの病気にかかったりした時に、適切な医療サービスが受けられなくなる。自分の命と医療機関を守るためにも、軽症者は自主療養を活用して受診をできるだけ控えてほしい」

【やなぎ・ひさお】愛媛大医学部卒。大阪府内の保健所で24年間勤務。2009年に洲本保健所所長、14年に豊岡健康福祉事務所長を務め、22年から現職。大阪府出身。65歳。

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